骨粗鬆症で食べてはいけないものはある?骨を強くする食べ物も解説

  • 2025.07.11
骨粗鬆症で食べてはいけないものはある?骨を強くする食べ物も解説

骨粗鬆症は骨がもろくなり骨折しやすい状態になる病気で、発症や重症化のリスクには食事が影響します。

例えば栄養バランスの崩れた食事ばかりを摂っていると、骨の形成に必要な栄養素が不足し、骨がもろくなりやすくなるのです。

この記事では、骨粗鬆症で食べてはいけないものについて解説します。

骨粗鬆症で食べた方が良い食べ物や予防・治療のためのポイントなどもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

骨粗鬆症の原因と食事が重要な理由

骨粗鬆症の原因と食事が重要な理由

骨粗鬆症の主な原因は、骨密度の低下です。

人間の体には新しい細胞と古い細胞が入れ替わる『新陳代謝』という機能が備わっていますが、これは皮膚だけでなく、骨も同様の働きをもっています。

骨の新陳代謝では、古い骨を壊して吸収される『骨吸収』と、新しい骨が作られる『骨形成』を1年~4年程度の周期で繰り返します。

骨吸収と骨形成がバランスよく行われることで健康的な骨密度が維持されますが、何らかの影響によって、形成される骨よりも吸収される骨の方が多くなってしまうことがあるのです。

これにより骨密度の低下が起き、骨粗鬆症を招いてしまいます。

骨の新陳代謝のバランスが崩れる要因としては、主に以下が挙げられます。

  • ・加齢による腸管からのカルシウム吸収能力の低下
  • ・閉経に伴う女性ホルモンの分泌量の低下
  • ・運動不足
  • ・栄養バランスの崩れた食事
  • ・飲酒・喫煙

加齢や閉経による影響は避けられませんが、運動や食事、飲酒・喫煙といった生活習慣にかかわるものは対策しやすいです。

特に食事は骨密度の低下に大きく影響するもので、栄養バランスの崩れた食事ばかりをとっていると、骨の健康を維持するために必要な栄養素が不足してしまいます。

また過度なダイエットにより急激に体重が減ってしまうのも、骨密度の低下を招く要因になります。

骨密度の低下を防ぐためには、生活習慣を見直し、加齢に伴う変化に備えることが大切です。

骨粗鬆症で食べてはいけないもの

骨粗鬆症で食べてはいけないもの

骨粗鬆症で食べてはいけないものとして、以下が挙げられます。

  • ・リンを多く含む食品
  • ・食塩
  • ・カフェイン
  • ・アルコール

ここでは上記4つについてそれぞれ解説します。

リンを多く含む食品

骨粗鬆症で食べてはいけないものとして、リンを多く含む食品が挙げられます。

リンは骨を形成する成分の一つで、人間の体に欠かせない栄養素です。

しかしリンを過剰に摂取すると、カルシウムと結合して体外に排出してしまう性質があり、せっかく摂った栄養が無駄になってしまうことがあります。

リンを多く含む食品ばかりを取っていると、骨の形成に必要なカルシウムの吸収が阻害され、骨密度の低下を招きやすくなります。

リンを多く含む食品はインスタント麺やスナック菓子、清涼飲料水の添加物、ハム・ソーセージなどの加工肉です。

これらの食品ばかりの食事にならないように注意しましょう。

食塩

食塩を摂りすぎると、骨粗鬆症を悪化させる高血圧症を発症することがあります。

高血圧は骨吸収を促進し、骨をもろくさせるほか、腎機能の悪化によるビタミンDの活性低下を招く恐れがあるため注意が必要です。

日本人の食塩摂取目安量は男性で1日7.5g、女性で1日6.5g未満とされていますが、味の濃い食べ物ばかりを好んで食べていると、この数値を簡単に超えてしまいます。

例えばカップラーメンをスープまで残さず食べると、1食だけで4~6gもの食塩を摂取することになるのです。

日頃からラーメンやうどん、ミートソーススパゲティなどの塩分の多い食事ばかり食べている方は注意が必要です。

カフェイン

骨粗鬆症では、コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに多く含まれるカフェインにも注意が必要です。

カフェインには利尿作用があり、過剰に摂取すると尿量の増加に伴って、骨形成に必要なカルシウムが体外へ排出されやすくなってしまいます。

カフェイン自体が悪いわけでなく、過剰に摂取すると良くないため、量があまり多くないようであれば過度に気にする必要はないでしょう。

ただし骨粗鬆症を予防するのであれば、なるべく摂取を控えた方が良いため、コーヒーなら1日2~3杯程度に抑えておくことをおすすめします。

アルコール

骨粗鬆症では、アルコールの摂取はなるべく控えた方が良いとされます。

なぜならアルコールには骨を作る細胞を破壊し、骨の形成を阻害したり骨をもろくさせたりする作用があるためです。

1日のアルコール摂取量が24g以上の場合、骨粗鬆症による骨折リスクが38%も上昇するといわれています。

毎日欠かさずお酒を飲んでいる方や一度に大量にお酒を飲む習慣がある方は、特に注意が必要です。

一切飲んでいけないわけではありませんが、過剰摂取によって骨粗鬆症の発症リスクが高まるため、なるべく摂取量を抑えることが推奨されます。

飲んでも良い目安量としては、ビールの場合で約500ml、日本酒で1合程度です。

骨粗鬆症で食べた方が良い食べ物

骨粗鬆症で食べた方が良い食べ物

骨粗鬆症で食べた方が良い食べ物は以下の通りです。

  • ・カルシウムを多く含む食品
  • ・ビタミンB6・B12・葉酸を多く含む食品
  • ・ビタミンDを多く含む食品
  • ・ビタミンKを多く含む食品
  • ・マグネシウムを多く含む食品
  • ・たんぱく質を多く含む食品

ここでは上記6つについてそれぞれ解説します。

カルシウムを多く含む食品

骨密度の低下を防ぐためには、骨形成に最も重要な栄養素であるカルシウムを積極的に摂取することが大切です。

特にカルシウムは尿と一緒に排出されやすい性質があるため、日頃から意識的に摂取することをおすすめします。

カルシウムを多く含む食品は以下の通りです。

  • ・牛乳
  • ・小魚
  • ・チーズ
  • ・ヨーグルト
  • ・ひじきなど

カルシウムの1日の摂取量目安は食事摂取基準では800mgですが、骨粗鬆症の治療中は1200mg程度必要になります。

カルシウムは乳製品のイメージが強い方も多いですが、実は小松菜やモロヘイヤといった野菜にも含まれています。

ただし乳製品と比べると含有量が少ないため、食事からの摂取が難しければ、市販のサプリメントや病院で処方されるカルシウム薬の利用を検討してみるとよいでしょう。

ビタミンB6・B12・葉酸を多く含む食品

骨粗鬆症で食べた方が良い食べ物として、ビタミンB6・B12・葉酸を多く含む食品が挙げられます。

それぞれの具体的な食品例は以下の通りです。

栄養素 食品例
ビタミンB6 まぐろ、鮭、豚肉、玄米、バナナなど
ビタミンB12 サンマ、牡蠣、牛レバーなど
葉酸 ホタテ、鶏レバー、イチゴなど

これらの栄養素は骨の強度を支えるコラーゲンの生成にかかわっており、骨粗鬆症の予防や重症化を防ぐのに欠かせないものです。

18歳以上の1日の摂取目安量はビタミンB6で1.1mg、ビタミンB12で2.4μg、葉酸で240μgです。

ほとんどの年代で不足しやすい栄養素でもあるため、積極的に摂取するようにしましょう。

栄養補助食品や栄養機能食品、サプリメントなどの活用もおすすめです。

ビタミンDを多く含む食品

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養素の一つで、腸管からのカルシウム吸収を促進する働きがあります。

ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収効率が悪くなってしまうため、カルシウムと一緒に積極的に摂取することが大切です。

ビタミンDを多く含む食品は以下の通りです。

  • ・鮭
  • ・サンマ
  • ・イワシ
  • ・シラス
  • ・しいたけ(干し)
  • ・きくらげ(干し)
  • ・卵など

ビタミンDの18歳以上の1日の摂取目安量は10〜20μgです。

鮭は1切れで25.6μg、サンマは1尾で14.9μgのビタミンDが含まれるため、魚類のメニューを1品追加するだけで効率的に摂取できます。

またビタミンDは紫外線を浴びることでも体内生成されるため、食事からの摂取量を意識するのはもちろん、適度な日光浴も日常生活に取り入れるようにすると良いでしょう。

ビタミンKを多く含む食品

ビタミンKは骨吸収を抑制する働きがあるため、骨粗鬆症で積極的に摂取するべき栄養素の一つです。

ビタミンKは質の良い骨を作るためにも重要な栄養素のため、不足すると新しい骨の質が低下し、骨折リスクが高まってしまいます。

ビタミンKを多く含む食品は以下の通りです。

  • ・納豆
  • ・小松菜
  • ・モロヘイヤ
  • ・ブロッコリーなど

ビタミンKの18歳以上の1日の摂取目安量は250〜300μgです。

主に野菜類に多く含まれているため、サラダやおひたし、炒め物など幅広い食事メニューが選べます。

またビタミンKは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に調理することで吸収率が高まる特徴があります。

マグネシウムを多く含む食品

骨粗鬆症では、マグネシウムを多く含む食品も積極的に摂取すべきです。

マグネシウムは、骨の形成を助け、骨密度を維持するのに重要な役割を果たします。

マグネシウムを多く含む食品は以下の通りです。

  • ・あおさ
  • ・わかめ
  • ・大豆
  • ・アーモンド
  • ・玄米など

マグネシウムの18歳以上の1日の摂取目安量は280〜380mgです。

海藻類や大豆製品、ナッツ類に多く含まれているため、1日1食大豆製品を摂ったり、味噌汁やスープに海藻を加えたりすると効率的に摂取できるでしょう。

たんぱく質を多く含む食品

骨粗鬆症で食べた方が良いものとして、たんぱく質を多く含む食品が挙げられます。

たんぱく質は骨の30%を占めるコラーゲンの生成にかかわる栄養素で、積極的に摂取することで骨折や怪我の予防にもつながります。

たんぱく質を多く含む食品は以下の通りです。

  • ・鶏肉
  • ・大豆
  • ・チーズ
  • ・ブロッコリーなど

たんぱく質の18歳以上の1日の摂取目安量は50gです。

たんぱく質は食事から摂取しやすいですが、どうしても不足してしまう場合は、プロテインなどの栄養補助食品を活用してみましょう。

運動前の栄養補給や小腹満たしにも最適です。

骨粗鬆症の予防・治療のためのポイント

骨粗鬆症の予防・治療のためのポイント

骨粗鬆症の予防・治療のために大切なポイントは以下の通りです。

  • ・栄養バランスの整った食事をとる
  • ・適度に運動する
  • ・日光に当たる
  • ・定期的に骨密度検査を受ける
  • ・医師や管理栄養士の適切なアドバイスを受ける

ここでは上記5つのポイントについてそれぞれ解説します。

栄養バランスの整った食事をとる

骨粗鬆症の予防・治療のためには、栄養バランスの整った食事をとることが大切です。

どれだけ骨の形成に良い栄養素でも、そればかりに偏った食事をとってしまうと、そのほかの健康に必要な栄養素が不足してしまいやすくなります。

どれかに偏った食事ではなく、さまざまな栄養素をバランスよく摂取することが大切です。

適度に運動する

骨粗鬆症の予防・治療に大切なポイントとして、適度に運動することが挙げられます。

運動をすることで骨に刺激が加わり、骨を作る骨細胞の活性化によって骨密度の向上が期待できるためです。

ウォーキングやジョギング、エアロビクスといった簡単な運動からぜひ始めてみてください。

最初から強度の高い運動をすると怪我のリスクが高まるため、慣れてきたら徐々に強度を上げていくのがおすすめです。

日光に当たる

骨粗鬆症の予防・治療では、日光に当たることが大切です。

日光に当たることで、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが体内で生成されます。

ビタミンDの生成にかかる日光浴の時間は地域差がありますが、30分~1時間程度を目安に、ウォーキングやジョギングなどの運動も兼ねて日光に当たる習慣をつけるとよいでしょう。

定期的に骨密度検査を受ける

骨粗鬆症の予防・治療では、定期的に骨密度検査を受けることが大切です。

骨粗鬆症は骨密度の低下により発症する病気ですが、自覚症状が表れにくい場合があります。

検査を受ける頻度は年齢や状態により異なりますが、40歳を過ぎたら1度検査を受けてみましょう。

閉経後の女性は特に骨密度の低下が起こりやすいため、年に1回の頻度で検査を受けるのがおすすめです。

医師や管理栄養士の適切なアドバイスを受ける

骨粗鬆症の予防・治療のためには、医師や管理栄養士の適切なアドバイスを受けることが大切です。

特に食事面は栄養バランスの管理が難しい方も多いでしょう。

医師や管理栄養士に相談すれば、自分の状況に合った食事の摂り方や食事メニューのアドバイスがもらえます。

また医療機関を受診すれば、薬物療法による骨粗鬆症の治療も可能です。

食事以外でも骨粗鬆症の予防・治療に取り組みたい方は、医師に一度相談してみましょう。

まとめ

骨粗鬆症で注意したい食べ物として、リンを多く含む食品、食塩、カフェイン、アルコールなどが挙げられます。

これらは過剰摂取することで骨密度の低下を招きやすくなるため、摂取量には十分注意しましょう。

また骨粗鬆症を予防するためには、カルシウムやビタミンB6・B12・葉酸、ビタミンD、ビタミンK、マグネシウム、たんぱく質などを積極的に摂取することが大切です。

必要に応じて医師や管理栄養士に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。

西尾久リウマチ整形外科』では、患者さん一人ひとりに適した治療を行っています。

大学病院や総合病院と同品質の骨密度検査機を導入しているため、骨粗鬆症の疑いがある方はぜひ当院までご相談ください。

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