整形外科と接骨院が併用できない理由は?併用する際の注意点も解説

  • 2025.07.16
整形外科と接骨院が併用できない理由は?併用する際の注意点も解説

「整形外科と接骨院は何が違うの?」「整形外科と接骨院は同時に通えるの?」といったお悩みを抱える方も少なくないでしょう。

整形外科と接骨院には明確な違いがあり、併用する際には注意が必要です。

この記事では、整形外科と接骨院の併用に関して詳しく解説します。

整形外科と接骨院の違いや交通事故に遭ったときに受診すべき方などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

整形外科と接骨院の違い

整形外科と接骨院の違い

整形外科と接骨院は両者ともに骨や筋肉、関節などの問題を扱う医療機関ですが、その役割や診療内容は異なります。

ここではそれぞれの診療内容や特徴について解説します。

整形外科とは

整形外科は主に骨や関節、筋肉をはじめとする運動器の問題を治療する専門科です。

整形外科医は身体のさまざまな部分に関連する疾患や怪我を診断し、治療を行います。

治療の対象は幅広く、骨折や関節痛、軟部組織損傷、炎症性疾患など、日常生活に直結する多岐にわたる問題を扱います。

診断にあたっては、X線やMRI、CTスキャンといった高度な医療機器を活用し、より詳細な情報を得た上で適切な治療方針を立てる点が特徴です。

さらに必要に応じて手術を行うことも可能で、症状の改善のみならず、患者さんの生活の質の向上を目指して多角的なアプローチを取ります。

また整形外科では、急性だけでなく慢性の疾患にも対応し、患者一人ひとりに適した治療プランを提供します。

例えば関節症やリウマチ、脊椎の問題など慢性的で進行性の病気にも、適切な治療法を提供することが可能です。

加えて整形外科領域ではスポーツ整形外科や小児整形外科、手の外科など、さらに専門的な分野が存在しており、患者のニーズに応えた質の高い医療が提供されます。

患者の回復をサポートするために、継続的なフォローアップも行い、症状の再発防止や後遺症の予防にも力を入れている医療機関です。

接骨院とは

接骨院は国家資格である柔道整復師が運営する施設であり、特に骨や筋肉、関節の障害に対する手技療法を通じた治療を行う場所です。

接骨院の特徴は、自然治癒力を利用したアプローチに重点を置くことです。

柔道整復師は骨折や脱臼の整復、捻挫や打撲の治療を専門としており、手技を用いて体のバランスを整え、人間本来の治癒力を支援する方法を行います。

日常生活で起こる捻挫や筋肉の張りなど、比較的軽度な症状から、中程度の怪我まで対応することが可能です。

接骨院では、手技療法に加えて物理療法も取り入れています。

温熱や冷却療法、電気療法など多様な方法を駆使し、症状の軽減を図ります。

柔道整復師は医師とは異なり診断を行う資格はありませんが、患者さんに負荷の少ない治療を提供し、早期回復の支援を行うことが可能です。

整形外科と接骨院が併用できない理由

整形外科と接骨院が併用できない理由

日本では、整形外科と接骨院の同時利用は原則として認められていません。

その主な理由は健康保険の適用範囲がそれぞれ異なり、保険請求が重複する可能性があるためです。

ここでは整形外科と接骨院が併用できない理由について詳しく解説します。

片方にしか保険が適用されないため

日本における健康保険制度では、同一の症状に対して整形外科と接骨院の両方に保険を適用することはできません。

両者は異なる医療サービスを提供していますが、対象となる症状が重なる場合もあります。

この際に問題になるのが保険の二重請求です。

このため、どちらか一方にしか保険が適用されないよう、制度上の制限が設けられているのです。

別の症状なら同時期に併用可能

整形外科と接骨院は必ずしも同時期に利用できないというわけではなく、別々の症状であれば併用が可能です。

例えば整形外科で腰痛の治療を受け、接骨院で捻挫の施術を受けることは制度上問題ありません。

双方が異なる症状を扱っている場合、それぞれの症状に対して個別に保険を適用することができます。

整形外科と接骨院を併用する場合は、このようにしっかりと症状を区別することが重要です。

患者さんは、自分の体の状態をしっかりと確認し、医師や施術者に具体的な症状を伝えましょう。

接骨院から整形外科なら同じ月の受診も問題ない

接骨院から整形外科への同月内での移行は、特定の条件下で問題ない場合があります。

例えば接骨院での施術で十分な効果が得られず、より精密な診断や治療を求めて整形外科を受診する場合です。

このような場合、患者さんは一度接骨院での施術を終了させ、整形外科での診察を受けることになります。

こうすることで、保険の適用が重複する心配を避けることができます。

整形外科と接骨院の併用の注意点

整形外科と接骨院の併用の注意点

「整形外科と接骨院を併用しても、申告しなければ問題ないのではないか?」と考える方もいるかもしれません。

しかし健康保険は組合によって定期的に調査が行われ、保険が正しく使われているかが確認されています。

そのため、申告しなくても健康保険組合には整形外科と接骨院を併用していることが伝わるのです。

これは法律上違法となる行為のため、整形外科と接骨院の併用には十分注意しましょう。

また接骨院での施術に保険適用が認められなかった場合は、翌月以降に施術料金全額が請求される場合もあります。

交通事故に遭ったら整形外科を受診する

交通事故に遭ったら整形外科を受診する

交通事故に遭ったら整形外科を受診することをおすすめします。

整形外科を受診すべき理由は以下の3つです。

  • ・交通事故での怪我は整形外科と接骨院の併用が可能
  • ・接骨院のみに通院すると慰謝料が減る恐れがある
  • ・整形外科なら適切な検査・治療が受けられる

ここでは上記3つの理由についてそれぞれ解説します。

交通事故での怪我は整形外科と接骨院の併用が可能

交通事故での怪我は、同じ症状であっても整形外科と接骨院の併用が可能な場合があります。

交通事故を起こした相手側に非がある場合、治療費は相手側が負担することになります。

そのため費用を負担せず、整形外科と接骨院どちらにも通うことが可能です。

ただし相手方の保険会社に接骨院への通院を希望する旨を伝え、担当の整形外科医にも許可を得る必要があります。

また同日内の併用は認められない場合があるため、その点は注意が必要です。

接骨院のみに通院すると慰謝料が減る恐れがある

交通事故に遭った際、通院先の選択が事故後の対応に大きく影響を与えます。

特に注意すべきは、接骨院のみに通院すると慰謝料が減額される可能性がある点です。

通常、交通事故による慰謝料は診断書や治療費の証明に基づいて算出されます。

接骨院には医師がいないため、医療機関としての診断書の発行ができません。

このため保険会社が治療の内容を十分に理解できない場合があり、結果として慰謝料が予想よりも低くなるリスクがあります。

したがって、まずは整形外科を受診し、正式な診断を受けることが重要です。

その後、必要に応じて接骨院を併用することで、しっかりとした根拠のある治療記録を残すことができます。

また法律や保険に詳しい専門家のアドバイスを受けるのも、適切な対応を選択しやすくなるためおすすめです。

整形外科では医療機関としての採血、画像診断などの検査が可能

接骨院でも初期診断と初期治療は可能ですが、整形外科では詳細な検査や、医師による治療が受けられます。

整った医療設備を用いた詳細な検査が行われ、骨や筋肉の状態を正確に把握することが可能です。

例えばレントゲンやMRI、CTスキャンを使用して、肉眼では確認できない体内の状況を明確にすることができます。

また後遺症が残る可能性のある怪我の場合、後遺障害等級認定を見据えた精密検査を受けることが重要です。

整形外科では上記のような精密検査設備が整っているため、事故後のさまざまな手続きに役立てられます。

こうした理由から、交通事故後にはまず整形外科を訪れて、詳しい検査を受けましょう。

整形外科と接骨院を併用するときの注意点

整形外科と接骨院を併用するときの注意点

整形外科と接骨院を併用するときの注意点は以下の通りです。

  • ・接骨院を受診する場合は保険会社への連絡が必要
  • ・整形外科の担当医の許可が必要
  • ・健康保険が使えない部分は自己負担になる

ここでは上記3つの注意点についてそれぞれ解説します。

接骨院を受診する場合は保険会社への連絡が必要

接骨院を受診する際には、保険会社への連絡が求められる場合があります。

特に交通事故や労働災害に関連する場合、治療費の支払いに関して保険を利用することが一般的です。

保険を使うにはまず自身の加入している保険会社に状況を報告し、受付けてもらう必要があります。

これを怠ると、後日保険の適用が認められないこともあるため注意が必要です。

また手続きが遅れると、治療費の請求や負担額についてのトラブルにつながることもあります。

そのため接骨院の受診が決まったらできる限り早く保険会社と連絡を取り、必要な手続きを完了させることをおすすめします。

さらに治療内容や診断書などの書類の提出が求められる場合もあるため、これも確認しておくと良いでしょう。

整形外科の担当医の許可が必要

整形外科での治療を受けつつ、接骨院での施術を希望する場合、担当医の許可が必要になることがあります。

整形外科医は患者さんの状態を良く理解しており、適切な治療計画を提供する立場にあります。

したがって、接骨院での施術が現行の治療計画や回復にどのような影響を与えるか、医師と相談することが求められるのです。

両者の治療方針が食い違うことを避けるためにも、十分なコミュニケーションと情報共有が不可欠です。

健康保険が使えない部分は自己負担になる

接骨院を利用する際、健康保険の適用外となる施術が存在することがあります。

接骨院での治療は基本的には健康保険が適用されることが多いですが、適用範囲は規定に基づいています。

このため、施術内容によっては保険適用外とされるケースがあるのです。

そのような場合、患者さんはその部分の料金を自己負担することになります。

施術を受ける前に、どの部分が保険適用になるのかを確認し、自己負担額について理解しておくと良いでしょう。

また施術内容について疑問や不明点があれば、事前に接骨院のスタッフに相談することをおすすめします。

まとめ

整形外科と接骨院の併用ができない主な理由は、片方にしか保険が適用されないためです。

併用によって接骨院の施術に保険適用が認められないと、翌月以降に施術費用を全額支払わなくてはいけなくなる場合もあります。

ただし交通事故に遭った場合など一部の条件では併用が認められる場合もあるため、不安な方は専門家に相談してみるとよいでしょう。

日本整形外科学会専門医・指導医が在籍する『西尾久リウマチ整形外科』では、一般整形外科や関節リウマチ、リハビリテーション、スポーツ整形外科、交通事故・労災など幅広い診療科目を扱っています。

患者さん一人ひとりに寄り添った治療を提供しているため、整形外科の受診を検討している方はぜひ当院までご相談ください。

PAGE TOP