リウマチの初期症状チェックリスト!原因・検査方法・治療方法も解説
- 2025.07.10

リウマチは、関節に炎症が起こり、腫れや痛み、こわばりなどの症状が現れる病気です。
リウマチの症状が悪化すると日常生活に支障をきたすようになるため、早期発見・早期治療が重要になります。
この記事では、リウマチの初期症状とチェックリストについて解説します。
リウマチの発症リスクを高める要因や診断・検査方法、治療方法、予防方法などもまとめているため、リウマチの疑いがある方はぜひ参考にしてみてください。
リウマチの初期症状とチェックリスト
リウマチは関節に痛みや腫れ、こわばりなどが現れる病気です。
ここではリウマチの主な初期症状や自己チェック方法について解説します。
リウマチの主な初期症状
リウマチの主な初期症状として、関節のこわばりや腫れ、痛み、倦怠感、疲労感、発熱、体重減少などが挙げられます。
これらは免疫の働きに異常が生じることにより起こる症状で、特に多いのが関節のこわばりや腫れ、痛みです。
『こわばり』は関節が硬くなり動かしにくくなる症状のことで、特に朝起きたときや長時間座った後によくみられます。
こわばりだけでなく、手や足などの小さな関節に痛みを感じる場合もあります。
最初は軽い痛みから始まり、症状が進むにつれて、痛みだけでなく腫れも伴うようになる場合が多いです。
また関節だけでなく、全身症状として疲労感や倦怠感が現れる場合もあります。
例えば体が何となくだるい感じがしたり、少し動くだけで疲労を感じたり、風邪でもないのに微熱が続いたりといった症状が現れている場合、リウマチの初期症状の可能性が考えられるでしょう。
結婚や出産、更年期、就職、転職、リストラといった環境の変化やホルモンバランスの変化がリスクとなることもあるため、そういった時期は特に注意が必要です。
リウマチのチェックリスト
「もしかしたら自分はリウマチかもしれない」と悩んでいる方は、以下のチェックリストを参考にしてみてください。
- ・パジャマのボタンが外しづらい
- ・歯ブラシが持ちづらい
- ・コーヒーのふたが開けづらい
- ・TVのリモコンが押しづらい
- ・ドアノブが回しづらい
- ・家の鍵が開けづらい
- ・靴ひもやリボンが結びづらい
- ・ハサミやホチキスが使いづらい
- ・何もしていないのに異常に疲れやすい
- ・風邪をひいていないのに微熱が続く
- ・原因不明の体重減少が起きている
上記のうち、ひとつでも当てはまる場合はリウマチの可能性があります。
またリウマチの代表的な症状である関節のこわばりや痛みは、朝起きてから30分以内に出やすい特徴があります。
寝起きに上記のような症状がみられる場合は、特に注意が必要です。
「まだそれほど痛みが強くないから大丈夫」といって症状を放置していると、次第に悪化し、さらに痛みが強くなったり関節のこわばりによって日常生活に支障が出るようになる恐れがあります。
少しでも違和感を覚えたら、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。
リウマチは早期発見・治療が重要
リウマチは早期発見・治療が重要な病気です。
以前まではゆっくりと症状が進行するものと考えられていましたが、実は発症後すぐに急速に関節破壊が進むことが明らかになってきているのです。
関節破壊が進行すると日常生活に支障が出るようになるため、早期治療により進行を防ぐことが大切になります。
関節の炎症が進むと現れる症状
リウマチの進行度は以下の4つに分けられます。
- ・ステージⅠ(初期):骨や軟骨の破壊がない状態
- ・ステージⅡ(中等期):軟骨が薄くなり関節の隙間が狭くなった状態
- ・ステージⅢ(高度進行期):骨や軟骨に破壊が生じている状態
- ・ステージⅣ(末期):関節が破壊され強直・固定が起きている状態
関節の炎症が進むと現れる症状として、痛みや腫れの悪化が挙げられます。
最初は軽い痛みから始まりますが、症状が進行するにつれて関節を動かさなくても痛みが生じるようになるため注意が必要です。
それからさらに炎症が悪化すると、関節に水が溜まる『関節水腫』が起こり、見た目でもはっきりとわかるようになります。
ステージⅢ以降まで進むと、骨や軟骨が破壊されて筋肉が萎縮することで、関節の変形が見られるようになります。
手足の指が外側に向いたり反り返ったりする変化が現れ、このような変形は『リウマチ変形』と呼ばれる症状です。
そしてステージⅣの末期まで進むと、骨と骨がくっついたまま固まってしまう『強直』と呼ばれる状態になり、関節を動かすことすらできなくなってしまいます。
ここまで症状が悪化してしまうと身の回りの動作を自分ではほとんどできず、ほぼ寝たきりまたは車いす生活となります。
早めに治療を行い進行を防ぐことが大切
リウマチは進行性の病気のため、早めに治療を行い進行を防ぐことが大切です。
発症から1年以内に関節破壊が急速に進行するため、関節の違和感にどれだけ早く気付き、どれだけ早く治療を始められるかが重要になります。
早めに治療を行うことで、痛みや炎症を和らげられるだけでなく、関節の損傷を防げます。
また治療にかかる身体的・精神的・経済的負担を抑えるためにも、早期段階で治療を行うことが大切です。
早く治療を開始することで、患者さんにかかる負担の少ない治療方法を選びやすくなります。
リウマチの発症リスクを高める要因
リウマチの発症リスクを高める要因として、以下の3つが挙げられます。
- ・性別
- ・遺伝的要因
- ・環境的要因
ここでは上記3つの要因についてそれぞれ解説します。
性別
リウマチの発症リスクを高める要因の一つに、性別が挙げられます。
リウマチは女性に多く見られ、男性よりも女性の方が発症リスクが高いとされる病気です。
30~50代に多く見られ、妊娠・出産、閉経などのホルモンバランスが大きく変化する時期と重なるため、女性ホルモンによる影響が大きいと考えられています。
はっきりとした原因が解明されているわけではありませんが、ホルモンバランスが崩れやすい時期には特に注意が必要です。
遺伝的要因
リウマチの発症リスクを高める要因として、遺伝的要因が挙げられます。
これまでに行われた研究によると、リウマチ患者さんの1親等以内にリウマチを発症している方がいる割合は9.8%という報告があります。
さらにリウマチ患者さんのいる家族は、そうでない家族と比べ、リウマチの発症確率が3.6倍も高くなるといわれているのです。
このことから、遺伝的要因がリウマチの発症に関与していると考えられています。
またリウマチの原因遺伝子は約100種類もあるといわれており、性別の遺伝子もそのうちの一つです。
1つの遺伝子が原因で発症するというよりは、複数の遺伝子が複雑に絡み合うことで、発症リスクを高めてしまうと考えられるでしょう。
環境的要因
リウマチの発症リスクを高める要因として、環境的要因が挙げられます。
環境的要因にはさまざまなものがありますが、中でも特にリウマチと関係性が高いのは喫煙や歯周病です。
特に喫煙は体内の炎症反応を強める作用があり、リウマチをはじめとした自己免疫疾患の発症リスクを高める恐れがあります。
また口内の細菌叢もリウマチの発症に関与しているとされているため、口内環境の悪化によって引き起こされる歯周病にも注意が必要です。
そのほかにも腸内環境の悪化や化学物質、怪我、強度のストレス、肥満なども発症リスクを高める要因になり得るとされています。
リウマチの診断・検査方法
リウマチの診断・検査方法は以下の通りです。
- ・診察・問診
- ・血液検査
- ・画像検査
ここでは上記3つの診断・検査方法についてそれぞれ解説します。
診察・問診
リウマチの診察・問診では、関節の状態や可動域、痛み・腫れの程度などを確認します。
問診で聞かれる内容としては、以下のようなものがあります。
- ・いつから症状が現れているか
- ・どの部分にどんな症状があるか
- ・どんなときに症状が現れるか
- ・関節以外の症状はあるか
- ・どのような家庭環境か
- ・過去に病気にかかったことはあるか
- ・妊娠の有無や可能性について
- ・出産歴はあるか
- ・現在服用している薬はあるか
上記のような問診をもとに、リウマチの診断が行われます。
スムーズに診察を進めたい方は、あらかじめ上記の内容についてメモにまとめておくとよいでしょう。
問診だけで確定診断を行うのは難しいため、血液検査や画像検査も行う場合が多いです。
血液検査
リウマチの診断では、血液検査を行う場合が多いです。
血液検査ではさまざまな項目を確認できますが、リウマチの検査で特に重要になるのが『CRP(C反応性タンパク)』、『抗CCP抗体』、『リウマトイド因子(RF)』などです。
測定項目 | 特徴 |
---|---|
CRP(C反応性タンパク) | 体内で炎症や組織の破壊が起こるときに、肝臓で生成される特殊なタンパク質。炎症が強い場合は高い値になる。 |
抗CCP抗体 | 環状シトルリン化ペプチド(CCP)と呼ばれる物質に対する抗体。リウマチの検査では早期診断に応用される。 |
リウマトイド因子(RF) | 自分の体の細胞や組織に対して生み出される抗体の一種。値が高いとリウマチが疑われる。 |
血沈 | 血液中の赤血球がどのくらいの速度で試験管の中を沈んでいくかを調べる検査。リウマチの炎症度合いを確認するのに有効で、症状が悪化するにつれて値が高くなる。 |
マトリックスメタロプロテアーゼ | 関節中の滑膜組織から作られる酵素の一種。炎症がひどくなると量が増える特性があり、治療薬の効果を調べるのにも有効。 |
上記のほかにも、赤血球や血清総タンパク、アルブミン値、グロブリン値、アルカリホスファターゼ値などのさまざまな項目を確認し、総合的に見て診断します。
画像検査
リウマチの診断では、関節の炎症状態を確認するために画像検査を行うことがあります。
主に『X線検査』、『MRI』、『超音波検査』の3種類があり、それぞれの特徴は以下の通りです。
検査の種類 | 特徴 |
---|---|
X線検査 | 関節の骨の状態を確認できる検査 |
MRI | 軟骨、腱、筋肉、滑膜、血管などの状態も確認できる検査 |
超音波検査 | 滑膜炎を観察する検査 |
上記のような画像検査は、関節で起こる炎症や変形をいち早く発見するために重要な役割を果たします。
リウマチの治療方法
リウマチには以下の治療方法があります。
- ・物療法
- ・リハビリテーション
- ・手術療法
ここでは上記3つの治療方法についてそれぞれ解説します。
薬物療法
薬物療法は、リウマチの炎症を抑え、症状を改善するための治療方法です。
主な治療薬として、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、抗リウマチ薬、生物学的製剤などがあります。
種類 | 特徴 |
---|---|
非ステロイド性抗炎症薬 | リウマチの痛みや炎症を抑える薬 |
ステロイド | 関節の痛みや腫れを和らげる薬。長期使用によって糖尿病や骨粗しょう症、感染症のリスクが高まるため、使用期間には注意が必要 |
抗リウマチ薬 | 免疫異常の調整や抑制により、リウマチの進行を抑える薬 |
生物学的製剤 | 関節破壊を抑制する薬で、現在8種類ほどある |
いずれの薬にも副作用のリスクがあるため、医師の指示通り正しく服用し、万が一副作用が現れた場合には医師に相談することが大切です。
リハビリテーション
リウマチのリハビリテーションには、運動療法、理学療法、作業療法、補助具を使用した療法などがあります。
関節の可動域を広げたり、筋肉のこわばりを取ったりする効果が期待できます。運動を全くしないと関節が固まってきてしまうため、適度な運動は必要不可欠です。
手術療法
手術療法は、薬物療法やリハビリテーションで十分な効果が得られなかった場合の治療方法です。
主な手術方法として、以下が挙げられます。
手術方法 | 特徴 |
---|---|
滑膜切除術 | 炎症が激しい滑膜を切除する手術方法 |
人工関節置換術 | 関節を人工関節に置き換え、本来の働きを取り戻す手術方法 |
関節固定術 | 頸椎を固定する手術方法 |
リウマチは予防できる?
リウマチの原因は解明されていないため、完全に予防する方法はありませんが、日々の運動習慣や生活習慣などを見直すことで、リウマチの発症リスクの低下につながります。
具体的な予防方法は以下の通りです。
- ・適度な運動習慣を取り入れる
- ・栄養バランスの整った食事をとる
- ・ストレスをため込まない
- ・禁煙する
- ・定期的に健康診断を受ける
上記のような予防方法を取り入れることで、リウマチの発症リスクを抑えたり、関節の炎症を和らげたりすることができます。
まとめ
リウマチの初期症状には、関節のこわばりや腫れ、痛み、倦怠感、疲労感、発熱、体重減少などが挙げられます。
特に関節の症状は朝起きたときや長時間座った後によくみられるため、少しでも違和感があったら医療機関の受診を検討しましょう。
リウマチは進行性の病気のため、放置しているとどんどん進行し、症状も悪化していってしまいます。
なるべく早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
『西尾久リウマチ整形外科』では、日本リウマチ学会専門医・指導医によるリウマチ性疾患の専門的な診療を行っています。
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