関節リウマチで食べてはいけないものはある?食事のポイントを解説
- 2025.07.09

関節リウマチは免疫異常によって関節に炎症が起こり、痛みや腫れなどが生じる病気です。
病気を発症すると普段の食生活にも気を使う必要が出てくるため、「関節リウマチの食事で気を付けることは何だろう?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、関節リウマチで食べてはいけないものについて詳しく解説します。
食事のポイントや炎症を抑えやすい食事メニュー例、飲酒・喫煙の注意点、日常生活での注意点などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
関節リウマチで食べてはいけないものはある?
結論から言うと、関節リウマチで食べてはいけないものは特にありません。
ただし食べ過ぎたり栄養バランスが偏ったりすると、筋肉量の低下や体脂肪の増加などを引き起こし、症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。
特に白米やパン、菓子類、ジュース類などの炭水化物、脂っこい食べ物や普通牛乳などの脂質を摂り過ぎると肥満の原因となることがあります。
関節リウマチに限らずですが、普段の食生活では栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
関節リウマチの食事のポイント
関節リウマチの食事のポイントは以下の通りです。
- ・栄養バランスの整った食事をとる
- ・良質なたんぱく質を摂取する
- ・カルシウムやビタミンDを積極的に摂取する
- ・ビタミンCやビタミンEの多い野菜を積極的に摂取する
- ・カロリーや脂肪の摂りすぎに注意する
- ・サプリメントの摂取は医師と相談する
ここでは上記6つのポイントについてそれぞれ解説します。
栄養バランスの整った食事をとる
関節リウマチでは、栄養バランスの整った食事をとることが大切です。
関節リウマチの主な症状は関節の痛みや腫れですが、食欲不振や倦怠感などの症状が現れる場合もあります。
そのため食事量の減少から、栄養不足に陥る方も少なくありません。
大切なのは炭水化物、たんぱく質、脂質、ミネラル、食物繊維などの必要な栄養素をバランスよく含んだ食事を1日3回規則正しくとることです。
栄養バランスが整っていても食べ過ぎると肥満の原因となるため、適正量を守って食事をとりましょう。
良質なたんぱく質を摂取する
関節リウマチでは、良質なたんぱく質を摂取することが大切です。
関節リウマチ患者さんは関節の痛みが原因で運動不足に陥りやすく、それが原因で筋力低下を引き起こすことがあります。
たんぱく質は筋肉や骨などの体を構成するさまざまな組織を作る材料で、摂取量が不足すると筋肉量が落ちる原因になります。
特に運動量が少なく筋力低下を引き起こしやすい関節リウマチ患者さんは、積極的に摂取すべき栄養素といえるでしょう。
たんぱく質は魚肉類や乳製品、大豆製品などに多く含まれます。
またサンマやサバなどの青魚類には、EPAという関節の炎症を抑える効果が期待できる成分も含まれているため、ぜひ積極的に食べてみてください。
カルシウムやビタミンDを積極的に摂取する
関節リウマチ患者さんが積極的に摂取すべき栄養素として、カルシウムやビタミンDも挙げられます。
関節リウマチは運動不足やステロイドの長期投与の影響から、骨粗しょう症のリスクが高くなります。
骨粗しょう症は、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
カルシウムは強い骨を作るための材料となるため、骨粗しょう症予防に重要な栄養素の一つです。
またカルシウムだけでなく、カルシウムの吸収をサポートする効果のあるビタミンDも一緒に摂取するとよいでしょう。
カルシウムは牛乳やチーズなどの乳製品、ほうれん草をはじめとする緑黄色野菜、小魚などに多く含まれ、ビタミンDはイワシやサンマなどの魚介類、キノコ類などに多く含まれます。
ビタミンCやビタミンEの多い野菜を積極的に摂取する
関節リウマチの食事のポイントとして、ビタミンCやビタミンEの多い野菜を積極的に摂取することが挙げられます。
ビタミンCは免疫系の強化やコラーゲンの生成に関与する栄養素で、ビタミンEは関節の炎症を軽減する働きがある栄養素です。
これらの栄養素が不足すると筋肉量の減少や免疫機能の低下、疲労感の増加といった影響が出る場合があります。
それぞれの栄養素が含まれた食材には以下のようなものがあります。
- ・ビタミンC:オレンジ、グレープフルーツ、キウイ、ピーマン、ブロッコリーなど
- ・ビタミンE:アーモンド、ヘーゼルナッツ、ほうれん草、ブロッコリー、西洋かぼちゃなど
関節リウマチ患者さんは、ぜひ上記の野菜や果物を積極的に摂取してみてください。
カロリーや脂肪の摂りすぎに注意する
関節リウマチの食事では、カロリーや脂肪の摂りすぎに注意が必要です。
カロリーや脂肪の摂りすぎは肥満の原因となり、体重が増えると関節にかかる負担が大きくなってしまいます。
関節の炎症や痛みが悪化する原因にもなるため、食べ過ぎには十分注意しましょう。
サプリメントの摂取は医師と相談する
サプリメントの摂取を検討している場合は、必ず医師に相談しましょう。
サプリメントは不足する栄養素を効率よく補う手段として優れていますが、栄養素の過剰摂取には十分注意が必要です。
例えばカルシウムの吸収を助けるビタミンDは、過剰摂取をすると食欲不振や頭痛を引き起こすことがあります。
また一部の商品には健康被害の報告があったり、処方された薬との相性によって体調悪化の原因となったりする場合もあります。
飲みたいサプリメントがある場合は医師や薬剤師に相談し、治療や健康に悪影響が出ないか確認しましょう。
関節リウマチの方におすすめな食事の例
関節リウマチの方におすすめな食事の例として、以下のようなものがあります。
穀類 | 玄米、五穀米、全粒粉パン、全粒粉パスタなど |
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果物 | パイナップル、りんご、みかん、いちご、アボカドなど |
魚介類 | サバ、イワシ、鮭など |
大豆食品・卵・肉類 | 豆腐、納豆、鶏肉など |
乳製品 | 低脂肪牛乳、低脂肪ヨーグルト、アーモンドミルク、オーツミルク、ココナッツミルク、チーズ |
野菜・海藻類 | ほうれん草、にんじん、ブロッコリー、ケール、トマト、かぼちゃ、キャベツ、玉ねぎ、大根、長ネギ、きのこ類など |
香辛料 | ターメリック、黒コショウ、味噌など |
油脂・ナッツ類 | オリーブオイル、ごま油、なたね油、大豆油、亜麻仁油、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、クルミなど |
上記のような食材を取り入れつつ、栄養バランスの整った食事にすることが大切です。
関節リウマチの治療における飲酒・喫煙の注意点
関節リウマチの患者さんは絶対に禁酒・禁煙をしなくてはいけないわけではありません。
しかし飲酒や喫煙は身体に悪影響を及ぼすリスクがあるため、健康のことを考え、普段よりも頻度を落としたり禁煙したりするのが望ましいです。
お酒を飲む頻度・量は医師と相談する
関節リウマチはお酒を絶対に飲んではいけないわけではありませんが、飲む頻度や量は医師と相談することをおすすめします。
なぜならアルコールが健康そのものに悪影響を及ぼす恐れがあるのはもちろん、関節リウマチ治療に使用する薬の効果に影響してしまう可能性もあるためです。
関節リウマチ治療に使用するメトトレキサートという薬は、飲酒によって副作用である肝機能障害が起こりやすくなります。
またアルコールには血流を促進する作用もあり、関節の炎症がさらに悪化する恐れもあるため注意が必要です。
医師と相談したうえで、普段よりも飲酒の頻度・量を抑えるようにしましょう。
禁煙は関節リウマチの症状を和らげる
関節リウマチの発症に関係する要素として、喫煙が挙げられます。
1日20本以上タバコを吸う人と全く吸わない人を比べると、発症率は2倍近くも差がつくといわれているのです。
2008年に行われた米国リウマチ学会では、「禁煙は関節リウマチの症状緩和に有効である」という発表もされています。
喫煙は関節リウマチだけでなく、がんや循環器疾患、呼吸器疾患、糖尿病などさまざまな病気の原因となり得るものです。
関節リウマチの治療を機に、禁煙に挑戦してみることをおすすめします。
関節リウマチの日常生活での注意点
関節リウマチの日常生活での注意点として、以下が挙げられます。
- ・歯周病のケアをする
- ・十分な睡眠・休養を取る
- ・ストレスをため込まないようにする
- ・適度な運動習慣をつける
- ・洋式の生活に切り替える
- ・関節に負担をかけない自助具・装具を利用する
ここでは上記6つの注意点についてそれぞれ解説します。
歯周病のケアをする
関節リウマチの発症リスクに影響する要因として、歯周病による口腔の細菌叢の悪化が挙げられます。
歯周病を予防するためには、毎日の丁寧な歯磨きや定期的な歯石除去を行うことが大切です。
ただし毎日歯磨きをしていても、歯ブラシの持ち方や磨き方に問題があると、磨き残しができてしまいます。
重要なのは、正しい歯磨きの仕方を身につけることです。
歯科医院では歯の正しい磨き方や自分に合った歯ブラシの選び方などを指導してもらえるため、自信のない方は定期検診の際に相談してみるとよいでしょう。
十分な睡眠・休養を取る
関節リウマチの治療では、十分な睡眠・休養を取ることが大切です。
身体的・精神的な疲れが蓄積されると、関節リウマチの症状が悪化する恐れがあります。
疲れをためないために、規則正しい生活を送り、十分な睡眠時間や休息時間を確保するようにしましょう。
また肉体労働を行っている方が関節リウマチを発症してしまった場合は、肉体的負担の少ない部署に異動してもらったり、勤務時間を調整してもらったりするのがおすすめです。
ストレスをため込まないようにする
関節リウマチでは、ストレスをため込まないようにするのも大切なポイントとなります。
身体的・精神的ストレスの蓄積は、抵抗力や血流の低下、自律神経の乱れなどを引き起こす原因となります。
ストレスをため込まないためには、規則正しい生活習慣を身につけること、十分な睡眠・休養を取ること、自分に合ったストレス解消法を見つけておくことなどが大切です。
適度な運動習慣をつける
関節リウマチの治療で推奨されているのが、適度な運動習慣をつけることです。
関節リウマチは関節の痛みや違和感などによって運動量が減ってしまいがちですが、運動を全くしていないと関節の拘縮(凝り固まって動かしにくくなること)を引き起こす恐れがあります。
関節の可動域を維持するためにも、ウォーキングや水中運動といった関節に負担の少ない運動を取り入れるのがおすすめです。
ただし過度な運動はかえって炎症が悪化する恐れがあるため、無理のない範囲で行いましょう。
洋式の生活に切り替える
関節リウマチの日常生活での注意点として、和式の生活をなるべく避けることが挙げられます。
例えば和式トイレは膝を深く折り曲げる必要があるため、関節への負担が大きくなってしまいがちです。
外出先でトイレを利用する際はなるべく洋式トイレを選び、自宅が和式トイレの場合は洋式トイレへのリフォームを検討するのがおすすめです。
和式トイレの上からかぶせて洋式トイレにする手段もあるため、ぜひ検討してみてください。
また、正座は避け、椅子に座るようにした方が関節への負担を減らせます。
関節に負担をかけない自助具・装具を利用する
関節リウマチでは、関節に負担をかけない自助具・装具を利用するのがおすすめです。
関節への負担が少ない食器や装具などがあるため、普段の生活で使っているアイテムを一通り見直してみるとよいでしょう。
また普段の生活で関節にかかる負担を軽減する方法として、以下のような対策も有効です。
- ・浴室にシャワー用の椅子を置く
- ・ガス栓にひねり器具を取り付ける
- ・フードプロセッサーや自動食器洗いを利用する
- ・玄関に手すりを設置する
- ・玄関にスロープを設置する
上記を参考に、可能な範囲で工夫してみてください。
まとめ
関節リウマチで食べてはいけないものは特にありませんが、栄養バランスが偏った食事や食べ過ぎは健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。
栄養バランスの整った食事を心がけ、良質なたんぱく質やカルシウム、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンEなどの健康に良い栄養素を積極的に摂取しましょう。
また関節リウマチの炎症の悪化を防ぐためには、禁酒・禁煙も有効です。
お酒やタバコは絶対にやめなくてはいけないというわけではありませんが、体を気遣うならなるべく控えた方がよいでしょう。
『西尾久リウマチ整形外科』では、リウマチ性疾患の専門的な診療を行っています。
患者さんの症状に合わせた治療が可能なため、関節リウマチの症状や治療方法にお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。