関節リウマチのしてはいけない10項目とは?日常生活での注意点も併せて解説
- 2025.07.09

関節リウマチは、免疫反応の異常により関節に炎症が起こる病気です。
「関節リウマチになったらどんなことに気を付ければいいんだろう」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、関節リウマチのしてはいけない10項目について解説します。
関節リウマチの日常生活での注意点や主な症状、かかりやすい人の特徴、治療方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
関節リウマチのしてはいけない10項目
関節リウマチのしてはいけない10項目は以下の通りです。
- ・激しい運動
- ・関節を冷やす
- ・高い枕の使用
- ・和式トイレの使用
- ・肥満
- ・長時間同じ姿勢をとる
- ・重いものを持つ
- ・正座をする
- ・喫煙
- ・ストレスをためる
ここでは上記10項目についてそれぞれ解説します。
激しい運動
関節リウマチのしてはいけない行動の一つに、激しい運動が挙げられます。
関節の痛みが出ているときに激しい運動をすることで、さらに痛みが悪化するためです。
痛みが出ているときや発熱をしているときは、激しい運動を行わないようにしましょう。
関節リウマチを発症していて、運動をしたい場合は、適度な運動を心がけることが大切です。
例えばウォーキングや水中運動などであれば、関節にかかる負担を抑えられます。
また関節リウマチは運動を全くしていないと関節の拘縮(凝り固まってしまうこと)が起きてしまうため、上記のような適度な運動やストレッチを積極的に取り入れることをおすすめします。
関節を冷やす
関節リウマチでは、体や関節を冷やさないように注意しなければいけません。
関節を冷やすことで血行不良を引き起こし、痛みが強くなったり動かしづらくなったりすることがあるためです。
寒い冬の時期はもちろんのこと、夏場でも冷風に直接当たらないように気を付けましょう。
冬場は手袋やマフラーを着用する、夏場はカーディガンやストールを羽織るといったように、関節を冷やしすぎないように意識してみてください。
高い枕の使用
関節リウマチを発症している場合は、高い枕の使用は控えましょう。
高い枕を使用するとあごを引いた形になるため、首への負担が大きくなり、症状を悪化させてしまう恐れがあります。
首や肩への負担が少なく、かつ自分の体に合った枕を選ぶことが大切です。
中にはミリ単位で高さを調節できるオーダーメイド枕もあるため、なかなか自分に合った枕が見つからない場合は検討してみるとよいでしょう。
和式トイレの使用
関節リウマチでは、和式トイレの使用はなるべく控えることが大切です。
和式トイレは深くしゃがみ込む必要があるため、膝関節に大きな負担がかかってしまいます。
外出先でトイレを利用する際は、なるべく和式トイレではなく洋式トイレを利用するようにしましょう。
また自宅のトイレが和式の場合には、洋式トイレへのリフォームを検討してみるのもおすすめです。
肥満
肥満体型は関節リウマチの症状を悪化させる可能性があります。
関節にかかる負担は、歩くときは体重の2~3倍、階段の上り下りをするときは6~7倍にも及ぶといわれています。
そのため体重が増えれば増えるほど関節にかかる負担が大きくなり、炎症が悪化しやすくなるのです。
現在肥満体型の方は適正体重までダイエットをし、そうでない方も規則正しい生活習慣を心がけて肥満を予防しましょう。
長時間同じ姿勢をとる
長時間同じ姿勢をとる行為は、関節リウマチの症状を悪化させる原因となります。
同じ姿勢をとり続けていると、部分的に血行不良を引き起こし、関節に痛みが生じやすくなるのです。
定期的に姿勢を変えたり動いたりして、同じ姿勢が続かないように注意しましょう。
重いものを持つ
関節リウマチを発症している場合は、重いものを持つのはなるべく控えることが大切です。
重いものを持つと手足の指や膝などの関節に負担がかかり、症状を悪化させる恐れがあります。
なるべくこまめに買い物をする、他の人に持ってもらうなどして、重いものを持たないようにしましょう。
またどうしても重いものを持ち運ぶ必要がある場合は、リュックサックやカートなどを利用し、関節に負担がかからないように工夫してみてください。
正座をする
正座は膝関節に大きな負担がかかる姿勢のため、関節リウマチの方はなるべく避けましょう。
長時間正座を続けると血行不良を引き起こし、関節の痛みや腫れが生じやすくなるためです。
椅子に座ったり関節に負担のかからない座り方をしたりするなど、普段から座り方も意識してみてください。
またどうしても正座をしなければいけない場合は、クッションを敷いて関節への負担を抑えることをおすすめします。
喫煙
喫煙は、関節リウマチの症状を悪化させる原因となるため控えましょう。
喫煙者と非喫煙者では、喫煙者の方が膝の痛みが強まったり軟骨の損傷が進んだりするリスクが2倍以上であることがわかっています。
(参照:喫煙と変形性膝関節症の男性における軟骨損失および膝の痛みのリスク)
これはタバコに含まれる有害物質によって、関節の炎症が促進されてしまうためです。
電子タバコでも同様に炎症悪化のリスクがあるため、関節リウマチの方は禁煙しましょう。
ストレスをためる
ストレスをためると免疫システムのバランスが崩れ、関節リウマチの症状が悪化する恐れがあります。
特に関節リウマチでは、関節の症状によって物がつかみにくくなったり痛みが生じやすくなったりすることから、日常生活でストレスを感じやすくなってしまいます。
音楽を聴く、映画を見る、ヨガやストレッチをする、瞑想をするなど、自分に合ったストレス解消方法を見つけておくことが大切です。
関節リウマチの日常生活での注意点
関節リウマチの日常生活での注意点は以下の通りです。
- ・適度に運動する
- ・関節を冷やさないようにする
- ・関節を保護する動作を心がける
- ・適度に安静にする
- ・バランスの良い食事を意識する
ここでは上記5つの注意点についてそれぞれ解説します。
適度に運動する
関節リウマチでは、関節の拘縮を予防するためにも適度な運動が推奨されています。
ウォーキングや水中運動などの関節にかかる負担が少ない運動を選ぶのがおすすめです。
また運動が難しい場合は、関節を動かすストレッチを行うのも有効です。
関節を冷やさないようにする
関節リウマチでは、関節を冷やさないようにすることも大切です。
具体的な対策方法としては以下が挙げられます。
- ・夏場は冷房の風に直接当たらないようにする
- ・カーディガンやストールを羽織る
- ・冬場はマフラーや手袋を着用したり厚着したりする
上記のような対策を取り入れ、関節の保温を心がけましょう。
関節を保護する動作を心がける
関節リウマチは日常生活の何気ない動作が症状を悪化させてしまうことがあるため、日頃から関節を保護する動作を心がけましょう。
具体的に以下のようなことを意識して生活してみてください。
- ・食器や鍋は必ず両手で持つ
- ・正座は避けて椅子に座る
- ・こまめに休息をとる
- ・うつむいた姿勢はなるべく避ける
同じ姿勢を長時間続けると症状を悪化させる可能性があるため、姿勢を変えたり動いたりしましょう。
適度に安静にする
関節リウマチは関節はもちろん、全身が慢性的に消耗していく病気のため、適度に安静にすることが大切です。
十分な睡眠時間を確保する、疲れたら積極的に休憩をとるなど、心身に疲れがたまらないような生活を心がけましょう。
また関節に負担のかかる動作(重いものの持ち運びや和式トイレの使用など)もなるべく控えることが大切です。
バランスの良い食事を意識する
関節リウマチの症状を悪化させないためには、バランスの良い食事を意識することも大切です。
バランスの良い食事をとることで肥満の予防にもつながります。
また砂糖やアルコール、カフェイン、赤身肉、加工食品などは関節リウマチの症状を悪化させる可能性があるため、なるべく控えましょう。
特に砂糖は炎症を促進する作用があることでも知られています。
普段よりも摂取量を抑えたり、ほかの材料に置き換えたりするなどして、関節リウマチに良い食事を心がけることが大切です。
関節リウマチの主な症状
関節リウマチの主な症状として、以下が挙げられます。
- ・関節のこわばり
- ・関節の痛み
- ・関節の腫れ
- ・関節の機能障害
関節が思うように動かなくなる機能障害や関節の痛み、こわばりなどが関節リウマチの主な初期症状です。
症状が悪化すると関節が変形したり脱臼したりすることもあり、日常生活に支障が出る可能性もあるため注意が必要です。
また上記のほかにも体のだるさや疲れやすさ、食欲低下、貧血といった症状が現れる場合もあります。
関節の症状や上記のような症状が見られたら、なるべく早めに医療機関を受診し、適切な検査・治療を受けましょう。
関節リウマチにかかりやすい人の特徴
関節リウマチにかかりやすい人の特徴として、以下が挙げられます。
- ・女性
- ・30~50代
- ・親族に関節リウマチ患者がいる人
- ・喫煙者
また直接的な原因ではないものの、ストレスを抱え込みやすい性格の人も関節リウマチにかかりやすいため注意が必要です。
特に真面目で几帳面な性格の人はストレスをため込みやすいため、適度にストレスを発散するようにしましょう。
女性
関節リウマチは女性に多い病気で、発症率は男性の約4倍にもなるとされています。
主にホルモンバランスの変化が影響していると考えられ、出産後や閉経後などに症状が悪化することがあります。
30~50代
関節リウマチは幅広い年代で発症する病気ですが、30~50代で特に多くみられます。
これはホルモンバランスの変化が影響していると考えられています。
10代、20代で発症する『若年性特発性関節炎』もあるため、若い方も同様に発症リスクのある病気です。
親族に関節リウマチ患者がいる人
親族に関節リウマチ患者がいる人は、関節リウマチの発症率が高くなります。
関節リウマチの発症しやすさには体質が関係しており、3親等以内の親族に関節リウマチ患者がいると、遺伝の影響で発症率が高くなるといわれています。
親が関節リウマチを発症しているからといって100%遺伝するわけではありませんが、発症しやすい体質の可能性があるため注意が必要です。
喫煙者
喫煙者は、非喫煙者よりも関節リウマチの発症率が高くなります。
米国ハーバード医科大学で行われた調査では、1日25本以上喫煙している場合、非喫煙者よりも関節リウマチの発症リスクが1.39倍にものぼるといった結果が出ています。
(参照:女性医療従事者における喫煙と関節リウマチのリスクに関する後ろ向きコホート研究)
また喫煙は関節リウマチだけでなく、がんや脳卒中、虚血性心疾患、糖尿病、歯周病などさまざまな病気の原因となるため、自分の体の健康を守るためにも禁煙を検討しましょう。
関節リウマチの治療方法
関節リウマチの治療方法として、以下の3つが挙げられます。
- ・薬物療法
- ・リハビリテーション
- ・手術療法
ここでは上記3つの治療方法についてそれぞれ解説します。
薬物療法
関節リウマチの治療は、薬物療法が中心となります。
処方される薬は抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬などで、これらによって関節の炎症や痛みを抑制したり、病気の進行を遅らせたりすることが可能です。
また関節の痛みや腫れが強い場合は、ステロイド注射を行うこともあります。
リハビリテーション
関節リウマチの治療では、リハビリテーションも重要です。
リハビリテーションには、関節の痛みを和らげたり機能回復を図ったりする目的があります。
運動療法や理学療法、作業療法、補助具を使った療法などいくつかの種類があり、これらを組み合わせて治療を行っていきます。
手術療法
手術療法は、薬物療法やリハビリテーションでは十分な効果が得られない場合に選択される治療方法です。
手術療法には以下のような種類があります。
- ・滑膜切除術:炎症が激しい関節の滑膜を切除する手術
- ・人工関節置換術:関節を人工関節に置き換え、機能を取り戻す手術
- ・関節固定術:頸椎を固定し、手足のしびれや麻痺などを予防する手術
手術療法による治療を受ける際は、十分に経験を積んだ信頼のできるリウマチ専門医に相談することが大切です。
まとめ
関節リウマチでしてはいけない項目としては、激しい運動をする、関節を冷やす、高い枕を使用する、和式トイレを使用する、ストレスをためる、喫煙するなどが挙げられます。
普段の何気ない行動が関節に負担をかけ、炎症を悪化させてしまうこともあります。
今回解説したように関節を保護する動作を心がけたり、適度に運動したりすることで、症状の悪化を防ぎましょう。
『西尾久リウマチ整形外科』は、リウマチ疾患の専門的な診療を行っている病院です。
日本リウマチ学会認定専門医・指導医が一人ひとりの症状に合ったリハビリを提供しているため、リウマチの症状でお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。