医療ダイエットのデメリットと副作用、始める前に知っておきたいリスクと対処法
- 2026.07.16
「医療ダイエットのデメリット」と一口に言っても、その中身は治療法ごとにまったく違います。薬で食欲を抑える治療と、注射や機器で脂肪に直接アプローチする治療では、副作用の種類もダウンタイムも、受けられない人の条件も別物です。この記事では、医療ダイエットを5種類に整理し、それぞれのデメリットと共通する注意点を順に解説します。
Contents
医療ダイエットには5種類ある

医療ダイエットは、薬を使う治療と施術で脂肪や体型に働きかける治療があり、次の5種類に分かれます。
| 治療の種類 | 何をする治療か | こんな方に向いている |
|---|---|---|
| ダイエット薬・ダイエット注射 | 食欲を抑える、糖や脂肪の吸収を減らす | 血圧・血糖・脂質などの健康指標を改善したい方、全体的に痩せたい方 |
| 脂肪溶解注射 | 気になる部位の脂肪細胞を薬剤で分解する | 顔・あご・お腹など局所の部分痩せをしたい方 |
| 脂肪冷却 | 脂肪細胞を冷やして死滅させる | 切らずに部分痩せをしたい方 |
| ラジオ波・EMSなど痩身機器 | 引き締め・血流改善・筋刺激を狙う | 引き締めや代謝向上を補助したい方 |
| 脂肪吸引 | カニューレで脂肪を物理的に吸い出す | 一度で大きく体型を変えたい方 |
治療選びの軸は「何キロ痩せたいか」より「何のために痩せたいか」です。健康指標を改善したい方と、見た目を変えたい方では、適した治療がまったく違います。
5種類に共通するデメリット

種類は違っても、医療ダイエットには全治療に共通するデメリットが2つあります。
自費治療で全額自己負担
医療ダイエットは原則として自由診療です。健康保険が使えないため、薬代・施術代・診察料・検査料すべてが自己負担になります。
| 治療の種類 | 費用の目安(クリニックにより異なる) |
|---|---|
| 内服薬(リベルサスなど) | 月額1万〜3万円程度 |
| ダイエット注射(オゼンピック・マンジャロなど) | 月額2万〜6万円程度 |
| 脂肪溶解注射 | 1回5千〜10万円程度 |
| 脂肪冷却 | 1ヶ所2万〜5万円程度 |
| ラジオ波・EMSなど痩身機器 | 1回1万〜3万円程度 |
| 脂肪吸引 | 部位により数十万〜100万円超 |
例外として、ウゴービ(セマグルチド)とゼップバウンド(チルゼパチド)は肥満症治療薬として保険適用が可能です。ただし保険適用には肥満症の診断・BMI・合併症・施設要件など複数の条件があり、学会専門医が常勤する教育研修施設に限定されます。一般的な美容・体型維持を目的としたダイエットでは使えません。
副作用被害救済制度の対象外
医薬品副作用被害救済制度は、適正に使った医薬品で副作用による健康被害が生じたときに、医療費や年金などの給付が受けられる国の制度です。医療ダイエットで使われる多くの薬は、この救済制度の対象外になります。
理由は2つあります。1つは、医療ダイエットに使われる多くの薬は、本来は別の病気(2型糖尿病など)の治療薬として承認されたもので、それをダイエット目的に使うのが「適応外使用」とみなされるためです。
もう1つは、個人輸入で入手された薬は国内承認外の医薬品となり対象外になることです。「個人輸入」とは患者様自身ではなく医師がクリニック向けに海外から取り寄せる行為も含むため、クリニック処方の薬であっても調達経路によって救済制度の扱いが変わります。
脂肪溶解注射の薬剤や痩身機器の多くも、未承認または適応外使用に該当するため救済制度の対象外です。
ダイエット薬のデメリット

ダイエット薬は大きく3グループ(GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬)に分かれます。副作用のパターンは、ホルモンの働きで食欲を抑えるGLP-1系(GLP-1受容体作動薬とGIP/GLP-1受容体作動薬)と、糖の尿への排泄を増やすSGLT2阻害薬の大きく2つに整理できます。
GLP-1・GIP/GLP-1薬の副作用(吐き気・便秘など)
GLP-1受容体作動薬(ウゴービ、リベルサスなど)とGIP/GLP-1受容体作動薬(ゼップバウンド、マンジャロなど)は、もともと腸から分泌されるホルモンの働きを強める薬です。胃の動きをゆるやかにして満腹感を持続させる作用が食欲を抑える一方、同じ作用が消化管に影響して吐き気・便秘・下痢・腹部膨満感が起きやすくなるという副作用が出ます。
多くの場合、低用量から始めて段階的に増やしていくと体が薬に慣れて軽くなります。症状がつらいときは増量のペースを遅らせる、食事を少量に分けて摂るなどの調整で対応できます。つらさが続くようであれば自己判断で中断せず、処方医に相談してください。
注射タイプ(ウゴービ・ゼップバウンド・マンジャロ)は、注射部位に赤み・かゆみ・軽い内出血が出ることがあります。同じ場所に連続で打つと皮膚反応が出やすいため、お腹・太もも・上腕で毎回場所をずらします。
頻度は低いものの、激しい腹痛と背中の痛みが続く場合は急性膵炎の可能性があります。すぐに使用を中止し、夜間・休日であれば救急外来、平日であれば内科または消化器内科を受診してください。
SGLT2阻害薬の副作用(脱水・尿路感染)
SGLT2阻害薬(フォシーガ・ジャディアンス・カナグルなど)は本来、2型糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病の治療薬で、尿として余分な糖を排泄させることで血糖を下げる薬です。副次的に体重が落ちる作用もあるためダイエット目的で使われることがありますが、糖と一緒に水分が出ていく仕組みのため、脱水・尿路感染・性器の感染症が起きやすいのが特徴です。
脱水の予防には水分をこまめに摂ることが大切で、夏場・運動時・発熱時は特に注意が必要です。尿路感染や性器感染の予防には陰部の清潔を保ち、排尿時の痛み・頻尿・残尿感・かゆみが出たら、男性は泌尿器科、女性は婦人科を早めに受診してください。
やめた後のリバウンドリスク
ダイエット薬で食欲を抑えたり糖の吸収を変えたりしている間は体重が落ちますが、薬をやめると元の食欲・代謝に戻り、生活習慣を変えていなかった場合はリバウンドしやすい状態になります。
リバウンドの本質的な原因は「薬をやめたこと」自体よりも、薬に頼っている間に食習慣や運動習慣を整えていなかったことにあります。治療中から食事の組み立てを見直し、無理のない範囲で体を動かす習慣を作っておくことが、治療終了後の体重維持につながります。
なお、脂肪細胞そのものを減らす治療(脂肪冷却・脂肪溶解注射・脂肪吸引)では、減らした脂肪細胞は基本的に再生しないため、薬と同じ意味でのリバウンドは起きにくいという違いがあります。
脂肪溶解注射のデメリット

脂肪溶解注射は、薬剤を脂肪層に直接注入して脂肪細胞を分解・排出する治療です。顔・あご・お腹など局所の部分痩せに使われます。
腫れ・内出血が出やすい
脂肪溶解注射の代表的なデメリットは、注射部位の腫れ・内出血・赤み・痛みです。薬剤が脂肪細胞を壊す過程で炎症反応が起きるため、施術後1週間程度は腫れや内出血が目立つ期間が続きます。顔やあごに注射する場合は、人前に出る予定をその期間に入れないよう調整する必要があります。
薬剤の濃度が高い製剤ほど効果と引き換えに腫れが強く出やすく、低濃度の製剤はダウンタイムが短い一方で複数回の施術を前提とした設計になっています。
複数回の施術が必要
脂肪溶解注射は1回で大幅に脂肪を減らせる治療ではありません。多くの場合、2〜4週間の間隔で3〜5回程度の施術を重ねて少しずつ効果を積み上げていく必要があります。1回あたりの単価だけを見て決めると、合計回数で総額が大きく膨らむことがあるため、最初に総額の見積もりを確認してください。
脂肪冷却のデメリット

脂肪冷却は、医療機器で脂肪層を冷却して脂肪細胞を減らす治療です。皮膚を切らず、注射針も使わないため侵襲が少ない一方で、冷却に伴う特有の注意点があります。
凍傷・知覚異常などの皮膚反応
施術直後から数週間にかけて、施術部位の赤み・腫れ・しびれ・知覚異常(触ったときの感覚が鈍くなる)が出ることがあります。多くは数日〜数週間で軽快しますが、まれに凍傷や強い知覚低下が長引くケースも報告されています。
頻度は低いものの注意したいのが「逆説性脂肪過形成(PAH)」と呼ばれる合併症です。脂肪が減るどころか、治療部位の脂肪が逆に増えて硬くなる現象で、2021年の多施設研究では治療を受けた方の0.43%に発生したと報告されています(新世代の機器に切り替わってからは発生率が大きく下がる傾向も報告されています)。発症は施術後2〜5ヶ月が多く、起きた場合は脂肪吸引などの外科的処置が必要になることがあります。
効果が出るまで2〜3ヶ月かかる
脂肪冷却は、冷却で死滅した脂肪細胞がマクロファージ(免疫細胞)に取り込まれ、リンパ系を経由して肝臓で代謝されながら時間をかけて体外に排出される過程を経る治療です。施術翌日に痩せるわけではなく、効果を実感できるまでに2〜3ヶ月かかります。即効性を期待する方や、特定のイベントに間に合わせたい方には向きません。
また、1回で減らせる脂肪量には限りがあり、希望する効果が出るまでに同じ部位で複数回(一般的に1〜3回)の施術が必要になることもあります。
ラジオ波・EMSなど痩身機器のデメリット

高周波(ラジオ波/RF)・医療EMS・HIFUなどの痩身機器は、熱や電気刺激で脂肪細胞や筋肉に働きかける治療です。「脂肪を直接減らす」というより「引き締め・代謝向上・部分的なボリュームダウン」を狙う治療が中心です。
効果が緩やかで複数回の通院が必要
ラジオ波・EMSなどの痩身機器は、1回の施術で大きな変化が出るタイプの治療ではありません。効果は緩やかに積み上がっていくため、月1回程度のペースで複数回(一般的に5〜10回)通院することが前提になります。
通院を続けないと効果が維持できないこと、治療をやめると徐々に元に戻る可能性があることを理解しておいてください。費用面でも「1回いくら」ではなく「自分が必要な回数と総額がいくらか」で判断する必要があります。
火傷・皮膚反応のリスク
熱を発生させる機器(ラジオ波・HIFUなど)では、出力設定や施術者の技量によって皮膚の火傷・水疱・色素沈着が起きるリスクがあります。EMSでは強い電気刺激による筋肉痛、出力過多による筋繊維の損傷が報告されています。
また、ペースメーカーや体内金属がある方、心臓疾患のある方、妊娠中の方は施術を受けられません。施術部位にタトゥーがある場合や、皮膚に傷・湿疹がある場合も施術が制限されます。カウンセリング時に持病・服用薬・体内デバイスの有無を必ず伝えてください。
脂肪吸引のデメリット

脂肪吸引は、カニューレと呼ばれる細い管を皮膚に挿入して脂肪を物理的に吸い出す外科手術です。一度に大量の脂肪を確実に減らせる反面、5つの治療の中で体への負担とダウンタイムが最も大きい治療です。
ダウンタイム・痛み・腫れ
術後の主な症状とその期間の目安は次の通りです。
| 症状 | 出現する期間の目安 |
|---|---|
| 痛み | 術後〜3日程度 |
| 腫れ・むくみ | 術後1週間程度がピーク |
| 内出血 | 2〜3週間程度 |
| しびれ | 数ヶ月続くことがある |
| 拘縮(皮膚が硬くなる) | 1週間〜2〜3ヶ月程度 |
痛みは術後3日間ほどが最も強く、強い筋肉痛のような状態が続きます。仕事復帰のタイミングや日常生活への影響を、術前に医師と確認しておく必要があります。
術後の圧迫固定と回復期間
脂肪吸引後は、吸引部位を専用の圧迫着で固定する期間が必要です。圧迫の目的は、内出血やむくみを抑え、皮膚の収縮を促し、仕上がりがボコボコにならないようにすることです。
固定の期間は短期的にはしっかり圧迫する3日〜1週間、その後もゆるやかに1〜3ヶ月程度の継続が一般的です。仕事や生活のスケジュール、入浴・運動・服装への影響を、術前に十分に確認してください。最終的な仕上がりが落ち着くまでに3〜6ヶ月かかるため、ゴールまでの時間軸を理解した上で判断することが大切です。
治療法ごとに受けられない持病・状態がある

医療ダイエットは誰でも受けられるわけではありません。禁忌や慎重投与の条件は治療法ごとに異なります。
| 持病・状態 | 注意が必要な治療 |
|---|---|
| 1型糖尿病 | GLP-1・GIP/GLP-1薬(添付文書で禁忌) |
| 甲状腺髄様がんの既往・家族歴 | GLP-1・GIP/GLP-1薬(添付文書で禁忌) |
| 重症ケトーシス・糖尿病性昏睡 | SGLT2阻害薬(添付文書で禁忌) |
| 重度の肝・腎機能低下 | 薬による治療全般(代謝・排泄に影響) |
| 脳血管疾患・心疾患 | 注射・脂肪冷却・脂肪吸引(侵襲が体に負担) |
| 抗凝固治療中(ワーファリン・DOACなど) | 注射・脂肪溶解・脂肪吸引(出血リスク) |
| ペースメーカー・体内金属 | ラジオ波・EMSなど機器系 |
| 妊娠中・授乳中 | 薬による治療全般・侵襲性のある施術全般 |
これらは「治療できない」と決めつけるためのリストではなく、医師が事前に確認して安全な治療を選ぶための判断材料です。持病があるからこそ、自己判断で市販のダイエット法に手を出すより、医師のもとで健康状態を踏まえた治療を受ける意味があります。
安全に医療ダイエットを行うために

医療ダイエットは、どの治療を選ぶ場合でも医療ダイエットの診療経験がある医師のもとで、事前の診察と血液検査で健康状態を把握してから始めることが安全性の前提です。
GLP-1薬の使い分けや適応外使用の判断、消化器症状や膵炎の兆候の見極めなど、医療ダイエットには通常の内科診療とは別の判断軸が必要になる場面があります。広告の派手さやSNSの体験談ではなく、副作用が出たときどう対応しているか、トラブル時の連絡体制はどうなっているかを、契約前に確認してください。
事前の問診と血液検査では、肝機能・腎機能・血糖・脂質・甲状腺ホルモンなどの数値と、既往歴・家族歴(膵炎、甲状腺髄様がん、1型糖尿病、心血管疾患など)、現在服用中の薬、妊娠の可能性をあわせて確認します。
オンライン診療では事前の検査と医師の診察が省略されるケースもあるようなので、安全面を優先して最初は対面で診察・検査を受けられるクリニックを選ぶことをおすすめします。
まとめ

医療ダイエットは大きく5種類(ダイエット薬、脂肪溶解注射、脂肪冷却、ラジオ波・EMSなど痩身機器、脂肪吸引)に分かれ、デメリットの性質はそれぞれ違います。共通するのは自費治療で全額自己負担となること、副作用被害救済制度の対象外になることが多いこと、受けられる治療は持病や服用薬によって変わることの3点です。
「何キロ痩せたいか」より「何のために痩せたいか」を軸に、医療ダイエットの診療経験がある医師のもとで、事前の診察と血液検査を経てから治療を始めてください。
医療法人社団香栄会西尾久リウマチ整形外科では、ウゴービ・ゼップバウンド・マンジャロ・リベルサス・ダパグリフロジンを用いた医療ダイエットに対応しています。当院では事前の血液検査と問診で健康状態を確認したうえで、お一人おひとりに合った薬剤と用量をご提案し、栄養指導や運動療法と組み合わせた生活習慣改善のサポートも行っています。
医療ダイエットに関する重要事項
医療ダイエット(GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬・SGLT2阻害薬を用いた肥満治療、脂肪溶解注射、脂肪冷却、ラジオ波・EMSなど痩身機器、脂肪吸引)は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療です。
- ・治療内容:薬剤の投与または機器・外科的処置による体重減少・部分痩せを目的とした治療
- ・治療期間・回数:薬による治療は3〜12ヶ月程度の継続が一般的、脂肪溶解注射は2〜4週間間隔で3〜5回程度、脂肪冷却は1〜3回程度、ラジオ波・EMSは月1回程度を5〜10回、脂肪吸引は1回で実施し仕上がりまで3〜6ヶ月(個人差あり)
- ・費用の目安(税込・クリニックにより異なる):内服薬月額1万〜3万円程度、ダイエット注射月額2万〜6万円程度、脂肪溶解注射 1回5千〜10万円程度、脂肪冷却 1ヶ所2万〜5万円程度、ラジオ波・EMS 1回1万〜3万円程度、脂肪吸引部位により数十万〜100万円超
- ・リスク・副作用:薬による治療では吐き気・便秘・下痢・脱水・尿路感染・低血糖・膵炎(まれ)など、注射・施術系では腫れ・内出血・痛み・しびれ・凍傷・火傷・逆説性脂肪過形成(脂肪冷却)・拘縮(脂肪吸引)など
使用する製剤・機器について
GLP-1受容体作動薬のうちウゴービ(セマグルチド/ノボノルディスク社)、GIP/GLP-1受容体作動薬のゼップバウンド(チルゼパチド/日本イーライリリー社)は厚生労働省より肥満症治療薬として承認されています。
(ウゴービ:2023年承認・2024年2月保険適用開始、ゼップバウンド:2024年12月承認・2025年4月発売)
この記事の監修者
肥満は自己責任ではなく、遺伝的因子や社会文化的因子を含むさまざまな環境因子で決まります。
患者様が気軽に相談できる診療の場をご提供し、内科・整形外科の医師と協力しながら最大限のお力添えができるよう努めています。